電気ブランコを作ってみよう |
電気ブランコってな〜に? 電気の力で動く小さなブランコだよ。 原理は簡単! 磁石を使って電流を力に変えるんだ。 このブランコを作ると、有名なフレミングの左手の法則が分るんだよ。 さあ、家庭にある材料を使って電気ブランコを作ってみよう。 |
作ってみよう |
電気ブランコを作るには、図1のような材料を用意する。 |
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図1 電気ブランコに必要な材料(おもなもの) |
表1 電気ブランコに必要な材料の一覧表 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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必要な材料の一覧表を、表1に示したよ。 この中で、ちょっと手に入りにくいものは、フェライト磁石かもしれない。 下の会社からインターネットで買えるよ。 本当は、エナメル銅線よりも、エナメルのついていない裸(はだか)の銅線の方がいいのだが、手に入りにくい。 裸銅線なら、サンドペーハーはいらない。 |
フェライト磁石を売っている会社 会社の名前 株式会社 二六製作所 電話番号 077−545−2126 ホームページ http://www.26magnet.co.jp/ (注文する場合はクリックしてね) 注文するもの 種類・形状 フェライト円筒形 商品コード FE022 サイズ Φ38×10 個数 2 価格 2個で300円+送料(600円) 支払方法 宅配便で受取った後で、コンビニで支払う 何個買っても送料は同じだから、友達といっしょに注文すると得だね。 この会社のホームページには、磁石について子供向けの説明(キッズルーム)があり、とても面白くて勉強になるよ。 インタネットで注文するときは必ずお父さんかお母さんといっしょにパソコンを使おうね。 |
図2は電気ブランコの完成写真だ。 次に、作り方をかんたんに説明しよう。 |
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図2 電気ブランコの完成写真 |
(1)磁石の準備 @ ペットボトルは上半分をハサミで切り取る。 A ペットボトルの下半分の窓の部分(向かい合った2面)を ハサミで切り取る。(幅25mm、長さ50mm) B ペットボトルを横向きに置く。 C 両面接着テープをハサミで切って、2個くっついたフェライト 磁石の両側にはりつける。 D 2個くっついたフェライト磁石をばらして、ペットボトルの 上面と下面に1個づつはりつける。 E 窓に糸を通して図のようにぶらさげ、北を向いた方にマジッ クで赤いマークをつける。 (これは磁石のN極を見つける ため) |
(2)ブランコの製作 @ 長さ200mmのエナメル銅線をサンドペーパーでこすって、 エナメルを取り除く。 (裸銅線の場合はこすらなくてよい) A アルミ棒と割りばしを長さ80mmに切る。 この両端に、エナ メル銅線を巻きつける。 B エナメル銅線の間隔(かんかく)を70mmに、アルミ棒と割り ばしの間隔を40mmにする。 C (1)のEでマジックで赤いマークをつけた方(北を向いた方) の面に「割りばし」をセロハンテープで固定する。 D ペットボトルの窓の隙間から、ブランコを入れる。 E ブランコが、磁石や窓にぶつからないでぶら下がるように、 エナメル銅線の長さを調節する。 |
(3)電池の接続 @ 電池ケース接続線の端に「みのむしクリップ」を ハンダ付けする。 ハンダ付けのできない人は、 クリップの端をラジオペンチで強く折り曲げて接続 することもできる。 A 「割りばし」に巻きつけた銅線を、「みのむしクリッ プ」ではさむ。 |
これで電気ブランコは完成だ! |
動かしてみよう |
図3A 上のように電池を接続すると、 電気ブランコが左にゆれる |
図3B 電池の接続を反対にすると、 電気ブランコが右にゆれる |
動かし方はかんたんだ。 図3Aのように電池を接続すると、電気ブランコが左にゆれる。 次にクリップの+と−を逆にはさむと、図3Bのように電気ブランコが右にゆれる。 クリップを逆にはさむ代わりに、電池ケースと接続線のつなぎを逆にしてもよい。(この場合には電池ケースの接続がパッチと入らないから、手でおさえておく) 電池ケースと接続線のつなぎを変えて、ブランコをゆらせてみよう。 |
注意 ブランコが右か左に動いたら、すぐに電池の接続を切ろう。 そうしないと、電池が消耗(しょうもう)してしまう。 |
なぜ動くのだろう---かんたんな説明 |
磁石には図4Aのように鉄粉を引きつける性質があるんだ。 鉄粉が引きつけられる方向を結んだ線を磁力線という。 磁力線は図4Bのような形になるのだ。 磁力線がある世界を磁界という。 (2)のCで北を向いた方を上にしたので、磁石は上がN極(きょく)で、下がS極だ。 磁力線はN極からS極に向かうので、2つの磁石の間では、磁界は下から上に向かっている。 |
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図4A 磁石が作る磁界 (鉄粉を引きつける) |
図4B 磁石が作る磁界 (磁力線) |
図5Aのように電流を矢印の方向に流すと、磁界と電流の働きで、赤い矢印の方向に力が発生するのだ。 なぜ? それは後の「くわしい説明」を読んでくれ。 この力によって、図5Bのようにブランコは左へ動くわけだ。 電流の方向を反対にすると、力の方向も反対になり、ブランコは反対に右へ動くというわけだ。 |
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図5A このように電流を流すと | 図5B このように動く |
これで、電気ブランコの実験はおしまい。 電気ブランコは何の役にも立たないけれど、この原理を使うとモーターが作れるんだよ。 その話は次の機会にしよう。 電気ブランコで分った、電流と磁界と力の関係はフレミングの左手の法則というんだ。 興味のある人は次のくわしい説明を読んでほしい。 |
くわしい説明 |
電流と磁界と力の関係を表すフレミングの左手の法則を説明し、電気ブランコでどれだけの力が発生するかを計算してみよう。 フレミング(J.A.Fleming, 1894-1945)は、イギリスの電気工学者、ロンドン大学の教授で二極真空管の発明者として有名だ。 電流と磁界と力の関係は、以前から知られていたが、フレミングの左手の法則という分りやすい形にまとめたので、電気の勉強をする人にとって大変覚えやすくなったね。 この法則はモーターの原理になっている。 これとは別にフレミングの右手の法則というのがあって、発電機の原理になっているんだよ。 |
図6はフレミングの左手の法則を説明したものだ。中指を電流の方向に合わせ、人さし指を磁界の方向にあわせる。すると親指の方向に力が働く。 この法則を電気ブランコにあてはめたのが、図7だ。 左手の法則から予想される力の方向と実験の結果が一致して、フレミングの左手の法則が正しいことが分る。 |
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図6 フレミングの左手の法則 | 図7 電気ブランコにフレミングの左手の法則をあてはめる |
次に、電気ブランコでどのくらいの力が発生するのか、計算してみよう。 最初にちょっとお断りを! 今まで磁界という言葉を使ってきた。当然磁界の強さという言葉があるのだが、専門的には磁束密度と呼ばれるものを使わなければならない。 難しいことを言わなければ、磁界の強さと磁束密度は同じことと思ってもいいんだ。 さて、電気ブランコの 電流の強さを I [A] Aはアンペア 電流の流れる長さを L [m] mはメートル 磁束密度を B [T] Tはテスラ とする。 その場合、 発生する力 F [N] は F=I×L×B Nはニュートン で計算できるのだ。 例を示そう。君の電気ブランコが 電流の強さ I = 1A 電流の流れる長さ L = 4cm = 0.04 m 磁束密度 B = 1000ガウス = 0.1T とすると、 F=I×L×B = 1×0.04×0.1 = 0.004 N となる。 君は、1N(ニュートン)という力は、約100gの物体に働く重力の大きさだということを知っているかな。 0.004 Nというのは、約0.4gの物体に働く重力と同じ大きさだ。 電気ブランコで発生する力は、小さな力だね。 しかし、モーターはフレミングの左手の法則で発生する力で回るのだ。 次回は、電気ブランコの材料を使ってモーターを作ろう。 電気ブランコをこわさずに残しておいてね。 |
ちょっと難しかったかな。 分らないことがあったら、メールで質問してね。 フレミングの左手の法則を使うとモーターが作れると言ったけれど、どうやって作ったらいいだろう? いいアイデアを思いついた人は、メールで知らせてね。 では、次回まで、さようなら! |
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