冬はなぜ寒いの? |
夏は暑くて、冬は寒いのはあたりまえだけれど、考えてみるとふしぎだね。 これは太陽の運動と関係があるんだよ。 かんたんな説明だから、読んでみてね。 |
かんたんな説明 |
家のベランダか野原に行って、南の空を眺めてみよう。 太陽は朝、左の方(東)から昇り、お昼ころに真南を通過して、夕方、右の方(西)へ沈む。 これを絵にしたのが図1だよ。 太陽が運動する道は、冬と夏でちがうんだ。 君は、北緯35度、すなわち東京・大阪あたりに住んでいるとしよう。北海道や沖縄の場合は後で説明するよ。 お昼の太陽が1年中で一番低い日は毎年12月22日ころで、その日を冬至(とうじ)というんだが、このときは太陽の高さは32度にしかならないんだ。 太陽が一番高くなる日は6月22日ころで、その日を夏至(げし)というのだが、そのときは太陽の高さは78度にもなるんだ。 |
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図1 南の空の太陽の動き 夏至と冬至の違い |
つぎに、太陽から地面に降りそそぐ太陽パワーを考えてみよう。 真昼に地面1m2が太陽から受取るパワーが、冬至のころと夏至のころでどのように違うかを示したのが、図2だ。 夏至のときは太陽が真上に近いところから照らすので、地面 1m2が太陽から受取るパワーは、光の断面積で0.98m2分のパワーになる。 ところが、冬至のときは太陽の光は地面をななめに照らすので、地面 1m2が太陽から受取るパワーは、光の断面積で0.52m2分のパワーにしかならない。 太陽パワーを、太陽の光を垂直に受ける場合の何%になるかで表すと、 夏至のころは98%だが、冬至のころは52%に減ってしまう。 これが、冬が寒い原因だ。 |
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図2 真昼の太陽パワーの比較 夏至と冬至の違い |
冬至のころは、太陽がななめから照らすので、地面が太陽から受取るパワーが少なくなるので、寒くなることが分ったね。 でも1年で一番寒いのは冬至のころではなく、1〜2月ころだ。 これは夏の間に温まった陸地や海が冬至になっても急には冷たくならず、1ヶ月あまり遅れてやっと冷たくなるからだ。 それから、地球の北半球が冬のときは、南半球は夏だということも、君は知っているだろう。 「冬は太陽が地球から遠くなるから寒くなる」と思っている人がいるかもしれない。 もしそうだったら、北半球が冬のときは、南半球も冬になるはずだ。 北半球が冬のころは、太陽は北半球をななめの方向から照らし、南半球を真上に近い方向から照らしているのだ。 冬が寒い原因は上で説明した太陽パワーだけではない。 興味のある人は次のくわしい説明を読んでほしい。 |
くわしい説明 |
太陽高度(太陽の高さのこと)と地面が受取る太陽パワーの関係を計算してみよう。 太陽高度と太陽パワーが、地球上の場所によってどう違うか、季節によってどう違うかを計算してみよう。 冬が寒い原因は、太陽パワーが少なくなることだけではない。冬の北風のことも考えてみよう。 |
太陽の高度と太陽パワーの関係 |
図3のように、太陽高度が E [度] で、斜めに照らすときの、地面での太陽パワーを計算してみよう。 地面で1m2を照らしている光の断面積は sinE [m2]です。 sin は三角関数というもので、高等学校の数学で習います。 したがって、地面での太陽パワー P [%] は、 P=100×sinE となります。 ただし太陽パワーPは、太陽が地面に垂直に照らすときを100%とする百分比で表しました。 この式から関数電卓を使って、「太陽高度E」と「地面での太陽パワーP」の関係を計算できます。その結果を図4に示しました。 東京では冬至のときの太陽高度はE=32度でしたから、太陽パワーはP=52%になることが分ります。 |
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図3 太陽が斜めに照らすときの、地面での太陽パワーの計算方法 | ||
図4 「太陽高度」と「地面での太陽パワー」の関係 |
太陽の高度の季節変化 |
図1のように、夏至と冬至とで太陽の動きが違うのはなぜだろう。 それは図5のように、太陽の周りを地球は23.4度傾いて自転しながら公転しているからです。 図5をもとにして、太陽パワーの1年間の変化を計算してみました。 その結果が図6です。 この計算には、球面三角法という大学で習う数学を用いました。 図6の横軸は、太陽に対する地球の位置を、春分を0度とし1年を360度としてあります。 縦軸は、各緯度の点の真昼の地面での太陽パワーです。 このグラフを見るといろいろなことが分ります。 北緯0度の赤道では、春夏秋冬の四季がなく、一年中ほぼ一定の太陽パワーを受けることが分ります。 東京のような北緯35度のところでは、夏は赤道並みの太陽パワーになりますが、冬は夏の半分ほどに少なくなることが分ります。 北欧北部のように北緯70度のところでは、冬のある期間は太陽が出ない北極夜になることが分ります。逆に夏のある期間は太陽が沈まない白夜になるのです。 北緯90度の北極では1年の半分は「北極夜」で、半分は「白夜」です。 「白夜」のときは太陽が沈みませんが、太陽パワーは真昼になっても少ないですから、東京よりも寒いでしょう。 ここでは、真昼のとき(正確にいうと太陽が真南にきたとき)の太陽パワーを計算しました。 時々刻々太陽から受けるパワーを集めると1日に太陽から受けるエネルギーを計算できます。 本当は大変複雑ですが、ここでは分りやすい説明だけをしました。 |
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図5 太陽のまわりを運動する地球 | ||
図6 太陽パワーの季節変化のグラフ |
冬の北風 |
日本の冬が寒い理由は、上で説明した太陽パワーが少なくなるだけではありません。 冷たい北風が吹くことも寒い理由の1つです。 冬にはなぜ北風が吹くのか考えてみましょう。 |
日本列島は大きなアジア大陸の東の端に日本海をはさんであります。 図7は日本列島付近を東西に切った断面だと思ってください。 冬になると、大陸は太陽パワーが減って寒くなるので、その上の空気も冷えて重くなり下に降ります。(下降気流) このような状態を高気圧といいます。 一方、太平洋も太陽パワーが減りますが、大量の海水は夏に受けた熱を保存していますので海面は比較的温かです。 そのため、その上の空気も温かで軽くなり上に昇ります。(上昇気流) このような状態を低気圧といいます。 空気の圧力のため、高気圧から低気圧に向かって風が吹きます。 |
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図7 冬の大気の循環(じゅんかん) |
図8は実際の天気図です。 空気の圧力からいえば、風は高気圧から低気圧に向かって図のAの方向に吹くはずです。 ところが、コリオリの力というものが働いて図のBの方向に風が吹くのです。 コリオリの力とはいったい何だろう? 地球は一日に1回の速さで自転しています。 そのため風が流れている間に地球が回転してしまうので、北半球(南半球)では進行の右方向(左方向)に「見かけの力」が働くのです。これがコリオリの力です。 空気にはいろいろな力が働いて運動します。 これが風です。 いろいろな力の中には、圧力による力、地上との摩擦力、コリオリの力、遠心力などがあります。 そのうち「コリオリの力」と「遠心力」は地球が回転しているため生じる見かけの力です。 圧力による力とコリオリの力の2つが大きな力だから、風はほぼ等圧線に沿って吹くことになります。 この北風が大陸北部の冷たい空気を日本に運んでくるのが、「冬はなぜ寒いか」の2番目の理由です。 |
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図8 冬の天気図の例 (1993年2月24日午前9時) |
おもしろかったかな? 今日のお話で分らないところがあったら、メールで質問してね。 ここでお話したようなことは気象学というんだよ。 気象学を勉強して、気象予報士になりたい人はいないかな。 理科でも社会科でも、なんでも質問箱に応募してね。 |
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