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秋のカナダ(1)----カナディアン・ロッキーのハイキング
  
 海外旅行が出来るようになって以来、秋のカナダの訪問は私にとって永年の念願であった。 というのは、西部カナダのアシニボイン州立公園のカラマツの黄葉と、東部カナダのアルゴンキン州立公園のメープルの紅葉を合せて見るという贅沢を、ぜひ体験したかったのである。 ところが、いずれの州立公園もロッジの収容人数が厳しく制限されるため、なかなか叶わなかった。

 カナダの国旗は、白地に真っ赤なサトウカエデ( sugar maple )の絵柄である。 国旗に象徴されるように、カナダは自然に恵まれた国であり、かつ自然保護に熱心な国であるという。 かつて、カナダはイギリスとフランスの植民地であったし、現在もエリザベス2世を元首とする立憲君主制連邦国家である。 しかし、1982年にイギリスから憲法の移管を受け、完全な独立を確保した。

 フランス系住民の多いケベック州の独立要求などの国内問題、余りにも大きい対米貿易依存の問題などの中で、いかにしてカナダ人がアイデンティティを確立するかは、外国人である我々にも関心のあるところである。 今回の旅はハイキングが中心であるが、このような問題に対するカナダ人の考え方を垣間見ることが出来ればと思いつつ、アルパイン・ツアー・サービス社主催の14日間のグループ・ハイキングに妻と2人で参加した。

 西部カナダを秋のカナダ(1)に、東部カナダを
秋のカナダ(2)にまとめた。合せてご覧下さい。                (2002年9月)
黎明のマウント・アシニボイン
国  名 カ ナ ダ
首  都 オタワ
政  治 立憲君主制連邦国家(元首はエリザベス2世)、1867年英連邦内で自治領成立、1931年主権獲得、1982年憲法の移管
面  積 997万km2 日本の27倍
人  口 3,128万人
イギリス系45%、フランス系29%
言  語 英語、フランス語(いずれも公用語)
宗  教 カトリック42%、プロテスタント40%
産  業 鉱業(ウランの産出量は世界一)、農業(小麦)、林業、水産業、製造業
1人当GNP 19,320米ドル/年 日本の60%
ルート図  赤い部分が秋のカナダ(1)
  

  
バ ン フ の 町
 
バンクーバーでカナダへの入国手続きをして、国内線でカルガリーに到着。
ここから車で、カナディアン・ロッキーの南の入口バンフへ。 
 
  
夏にも宿泊したバンフ・カリブー・ロッジ スーパーマーケットで食料を仕入れる
  
バンフの町から見るカスケード・マウンテン アスペン? ナナカマド?
  

  
アシニボイン州立公園
  
アシニボイン州立公園はバンフ国立公園に接する州立公園で、1922年に創設された。 ここには、カナディアン・ロッキーのマッターホルンともいわれるマウント・アシニボイン(3618m)が俊峰を見せる。 園内に通じる車道は1本もないので、徒歩か馬かヘリコプターでアクセスするほかない。
  
アシニボイン・ロッジ
  
このロッジは1928年に最初の建物が建てられた歴史ある山小屋で、収容人数30人が守られている。 毎晩のメインディッシュは素晴らしく、パン、デザートはすべて手造り、という嬉しいロッジである。 ここに4泊し、各方面へのトレッキングを楽しんだ。
  
車道の終点からヘリに乗る ヘリから見るマウント・アシニボインとロッジ 10分程の飛行でロッジに着く
  
メイン・ロッジにはダイニング・ルーム、リビング・ルーム、単身者用寝室などがある
  
リビング・ルームでくつろぐ リビング・ルームから見るマウント・アシニボイン
  
4人用のキャビンが点在している
キャビンには電気がなくガス灯 マゴッグ湖に映える夕暮れのマウント・アシニボイン 明日の天気は?
  

  
エリザベス・レイク・ハイキング
  
今日はロッジから西北にあるエリザベス・レイクへのトレッキングである。ガイドのシルビアさん(写真がなくてすみません)はスイスのグリンデルワルト出身で、スキーによるアルプス横断(オートルート)の経験があるという。トレッキングから帰ると我々のための夕食の準備をしてくれる元気ママさんである。
  
生憎のガスが立ち込めるカラマツ林を登って行く。
  
サンバースト・ピークとセロリアン・レイク
  
道標は分りやすい
一時閉鎖されている道の標識 エリザベス・レイクに辿り着く
  
 草紅葉   雪を被ったヒッピーの頭
(アネモネの穂)
 
  アズマギク   シロアザミ 
カラマツの葉 モミの葉 ヤナギの仲間 ウイスキー・チャーク
トウヒ(spruce tree)とモミ(fir tree)の葉は似ている。トウヒの葉先は触れると痛いが、モミの葉先は優しい(friendly)と、シルビアさんが教えてくれた。
  

  
ウィンディ・リッジ・ハイキング
  
2日目のトレッキングは、ロッジの北方にあるウィンディ・リッジである。夜中にトイレに行くと満天の星空だったが、起きてみると---
  
キャビンの周りは10cmくらいの積雪 朝食の後、めいめい昼食用
のサンドウィッチを作る
アルパイン社のツアーガイドの岡本さんと、今日のガイドのアンドレさん(ロッジのオーナーの息子さん)
  
雪の中のトレッキングも楽しい
  
オッグ・パスに着く。ここで自分で作ってきたサンドウィッチを食べる。(4枚合成パノラマ)
  
食後、一旦峠を下って向うのウィンディ・リッジへ登る。 カラマツの着雪 クマの糞
  
ようやくウィンディ・リッジに到達すると、今まで見えなかった向う側の山が見える。(合成パノラマ)
氷河で削られた大きなカールである。高度計によればウィンディ・リッジの標高は2550m。
  
帰路では足元の雪はすっかり融け、周辺の三角形や鋸歯状の山々が展望できた
  
ワンダー・パス・ハイキング
  
最後のトレッキングは、ロッジの東方にあるワンダー・パスを通る巡回コースである。カラマツ林あり、峠あり、高層湿原あり、の楽しい1日だった。
  
天候に恵まれなかった毎日だったが、この日は早朝から日の出を狙ってやっと撮れた1枚
  
 
ガイドは、ロッジの
オーナーのセップさん
分宿するキャビン。背後の山はザ・タワーズ
(左)とテラピン・マウンテン(右)
クマに注意
  
カラマツ林のウォークは気持ちがよい
  
  
テラピン・マウンテン
  
ザ・タワーズ。カラマツの下にモレーン(氷河による堆積堤)らしいものが見える。 道端の礫を
割ってみる
礫の風化層の厚みは3〜5mmくらいで、数千年〜1万年くらい前に礫が出来たと想像される 
  
ワンダー・パスに立つと、初めて南側の山々が望まれる
  
峠で振り返ると、カラマツとモミ(またはトウヒ)の雄大な景色が展望できる
  
クマが掘り返したマーモットの巣穴
 
マーモットの骨の
入ったクマの糞
  
草紅葉の高層湿原を行く
  
樹齢600年のカラマツ
  
倒れたカラマツ
 
1mほどの幼木も立派に紅葉している
  
   
氷河が削り残した羊背岩であろうか 直径1m弱の饅頭を並べたような構造
土。凍結・融解の繰り返しで出来る。
湿地に残された
コヨーテの足跡
 

  
ロ ッ ジ 周 辺 に て
  
トレッキングから帰ってメイン・ロッジのリビング・ルームでお茶を飲んだ後、
ロッジの周辺を散策するのも楽しいひとときである。 
  
ワンダー・パスからの帰り道、なぜかロッジの近くに3頭の馬が--- ロッジに戻ると3人のカウボーイ姿の訪問者が---
  
   
かっこいいレインジャーも来ていた そのはず、近くにレインジャー・ステーションがあった
  
ロッジの近くには堆積岩がごろごろ 石の中に石が入っている ロッジで見つけた貝の化石
  
楽しかったアシニボイン・ロッジに別れを告げ、再びヘリで戻る
  
アシニボインー州立公園でのトレッキングを楽しんだ後、バンフへ戻って1泊した翌日、カルガリーから空路で東部のオタワに飛ぶ。カラマツの黄葉を思い出しながら---

引き続き、秋のカナダ(2)をご覧下さい。
 

 
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