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小笠原諸島−父島2----世界自然遺産、南島の沈水カルスト地形、無人岩(ボニナイト)
     などの地質
アカガシラカラスバトなどの動物固有種、植物固有種(特にシダ類)


 昨年(2011年)6月に初めて小笠原諸島に行った。図らずも滞在中に世界自然遺産の登録承認があり、村長の乾杯に参加することができた。次回はぜひホエールウォッチングのできる時期に訪ねたい、南島の沈水カルスト地形を観察したい、母島にも行きたいと思っていた。

 今年3月に、昨年同様、妻と一緒に行く予定だったが、妻の都合が悪くなり、ピンチヒッターに長女が同行してくれることになった。長女は、大学生と高校生の母親であるが、かねてよりシダ植物に興味を持っていたので、大喜びだった。というのは、小笠原諸島は、シダ植物の種類が多いこと、とりわけ固有種が多いことでは日本一だからである。

 残念だったことは、予定した母島へは、悪天候のため父島からの船が欠航し、行けなかったことである。その代わりに、父島を1日長く見学できた。地質に関しては小笠原にしかない無人岩(ボニナイト)の枕状溶岩や鶯砂を見ることができた。小笠原に40羽程しか生息しておらず、観察することは諦めていたアカガシラカラスバトに偶然出会える幸運にも恵まれた。期待した南島の自然は本当に素晴らしかったし、父島一周のボートツアーではザトウクジラの他にマンタやアオウミガメに遭遇できた。このボートツアーは南島の沈水カルスト地形を理解する上でも素晴らしかった。

 このような自然観察の成果を独り占めするのはもったいない気持がして、このホームページでは、いささか冗長と思われるくらい詳しく記すことにした。昨年6月の訪問時のホームページ
ここをクリックするとご覧になれます)と重複する部分も多いが、あえて再記した。ご了承願いたい。

 なお、植物の同定と解説は主として、豊田武司 「小笠原植物図譜」 アポック社 1981年によった。
                            (2012年3月)
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         アカガシラカラスバト

ハト科カワラバト属の鳥で、小笠原の固有種。サンクチュアリを設けて手厚く保護されているが、生息数が少ないので、めったに見られないという。今回は、サンクチュアリの外の初寝浦遊歩道で偶然出会った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 下記にメールでお知らせ願います。
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小笠原諸島はどこ?
このホームページ「小笠原諸島2」は、前に作成した「小笠原諸島」の続編です。
「小笠原諸島はどこ?」
は、前編で制作した地図を再掲しています。
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小笠原諸島は次の島々からなる

 小笠原群島
   聟島列島
   父島列島
   母島列島

 火山列島(硫黄列島ともいう)
   北硫黄島  無人島
   硫黄島    太平洋戦争の激戦地、海上自衛隊・航空自衛隊が駐屯
   南硫黄島  無人島

 孤立した島々
   西之島   無人島
   南鳥島   日本の最東端、気象庁と海上自衛隊が駐屯
   沖ノ鳥島  日本の最南端、無人島、灯台がある


なお、小笠原諸島に含まれない伊豆諸島は、多数の島々からなるが、
有人の島は下記の9島である。
  大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島

江戸時代には有人の島は7島だったので、「伊豆七島」と呼ばれたが、
この呼称は7島以外の島民にとっては蔑称とも感じられるといわれ、
最近は伊豆七島よりも伊豆諸島と呼ばれることが多いという。


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小笠原群島は、聟島列島、父島列島、母島列島からなる。 父島列島は、父島、兄島、弟島、その他周辺の島からなる。  国土地理院による  父島列島の中心である父島
上の画像をクリックすると、地図が新しいウインドウで表示されます。
さらにその地図上でクリックすると、画像が拡大されます。  
国土地理院による



1日目
(3月1日)
東京竹芝客船ターミナルを出港 (船中泊)

東京湾を出る

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おがさわら丸は、10:00に竹芝客船ターミナルを出港

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春休みのためか、学生の研修旅行と一緒になる ロビーのGPSによると、19:00には八丈島の東側を通過

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船内の夕食は、それぞれ好きなものを

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旅客定員2名の1等船室で長女と



2日目
(3月2日)
父島入港初寝浦ツアー宿(泊)

父島入港、宿へ

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翌朝7:00にデッキに出てみると、既に陽は高く昇っていた 聟島列島に接近

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11:30に、三日月山に抱かれた父島二見港に入港 ターミナルには迎えの人達が・・・

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25時間半の船旅を終え、タラップを降りる 小笠原ツーリストさんの出迎え ホエールウォッチングのSeaTac

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3日間お世話になるウエストさん 部屋に現れた先住民のヤモリ

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ウエストさんのすぐ隣は、小笠原聖ジョージ教会 質素な教会の内部
小笠原聖ジョージ教会は、1909年、日本聖公会と英国聖公会の援助によって創立したが、太平洋戦争の戦火で焼失した。戦後、島は米国海軍の軍制下に置かれ欧米島民の帰島が許され、米国海軍、米国聖公会、および欧米系島民の手によって新聖堂が献堂された。
1968年(昭和43年)小笠原の日本返還の年に、教会名は小笠原聖ジョージ教会(Chapel of Peace)となった。



中央山からサンクチュアリ入口へ

父島に着いた日の13時に、父島在住の延島冬生さんが宿のウエストまで迎えに来て下さった。延島さんは日本山岳会会員で、小笠原の自然保護に尽力されている。今日はこれから初寝浦を中心に植物と地質の観察を案内して頂く。

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マルハチ(ヘゴ科、木性シダ、固有種) マルハチの名の由来(昨年撮影) メヘゴ(ヘゴ科、木性シダ、固有種)
マルハチの名の由来は、幹の表面にある葉柄の落ちた跡が
漢字の八の字を逆さまにした模様になることによる。

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キンモウイノデ(オシダ科、小笠原諸島とミクロネシアに自生するシダ) キンモウイノデの葉の裏にあるソーラス(胞子嚢群)

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ケホシダ(ヒメシダ科、広分布種) 葉の裏に小さな胞子嚢が見られる リュウビンタイ(リュウビンタイ科、広分布種シダ)

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モクマオウ(木麻黄、モクマオウ科、帰化種) リュウキュウマツ(琉球松、マツ科、帰化種)
モクマオウは、マツに似ているが針葉樹ではない。明治12年にインドより輸入され、荒廃地復旧のための造林樹種としてリュウキュウマツと同じように、父島、母島、兄島などに植栽され、現在は野生化している。かつては薪炭材として利用されたが、現在では固有植生を破壊する外来樹種として、リュウキュウマツと同様、駆除が必要といわれている。
  
A リュウキュウマツは、明治32年に琉球より種子を移入して、増殖をはかったもので、小笠原では生育がよいことから、大正3年以降は種子移入の量を増加させ、島内で養苗し、裸地や疎林地に植栽した。しかし、昭和48年頃からマツノザイセンチュウによる被害が発生し、6割近い被害を受け、さらに拡散している。かつては島の緑化、薪炭材の需要を満たすために導入されたが、現在は固有植生への影響から駆除が叫ばれている。



アカガシラカラスバト・サンクチュアリ入口

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小笠原の固有種であるアカガシラカラスバトの生息環境を保護するため、ノネコの侵入を防止するフェンスが設けられている。
昨年6月に訪島したときには、フェンスは未完成であったが、今年の3月に再訪したときには完成しているようであった。

アカガシラカラスバトは、小笠原の固有種で、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づく国内希少野生動物種に指定されている。アカガシラカラスバトは小笠原諸島の常緑樹林に生息する黒いハト。個体数がもともと少ないことに加え、生息環境の悪化により、現在は推定40羽程度まで減少しているとみられる。

関東森林管理局では、平成15年4月にアカガシラカラスバトの生息環境に適した森林の保全・整備を行い、生息域への立入りルールの確立を図るために、父島の中央山東平の保護林内に「アカガシラカラスバトサンクチュアリー」を設定した。(面積 28.40ha) サンクチュアリー内のルート(自然観察路)を利用する場合は、希少な動植物の生息・生育環境の保全と利用に関する講習(利用講習)を受講し、入林許可書の交付を受けるか、または、入林許可の交付を受けたガイドの同行が必要である。

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サンクチュアリには明後日に入る予定で、今日は入口を確認しただけ

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入口の近くにあったタコノキ(タコノキ科、固有種)
小笠原の景観を代表する常緑高木。気根が幹の高い位置からも発根し、あたかもタコが足を広げているように
見えることからこの名がついた。雌雄異株で、雌株はパイナップル状の花序をつけ、雄株は穂状の花序をつける。



初寝浦線歩道入口

初寝浦線歩道の入口にある案内板
ここから初寝浦の海岸までは1.2kmの遊歩道(標高差約200m)。
最初少し登った後、緩やかな下りと急な下りが続く。乾性低木林、
シダなどの多くの固有種を見ることができる。

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歩道の入口で靴とズボンについた種子を除去する。観察ルート、観察目的などを石の色で区別する。

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ホソバクリハラン(ウラボシ科、固有種シダ)
ランという名だがシダ。残念ながらこの個体はソーラス(胞子嚢群)は付けていなかった。

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エダウチホングウシダ(ワラビ科、固有種シダ) いくつかの橋を渡る



初寝浦休憩所

初寝浦線歩道の最高点にある初寝浦休憩所 (左は兄島の家内見崎、右は東島)
ここからは初寝浦海岸は見えないが、海岸に向かって急崖を下る。休憩所付近の植物観察は帰路に行うことにする。

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初寝浦休憩所にある案内板



初寝浦休憩所から初寝浦海岸へ

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防ネコ・フェンスに沿って
サンクチュアリの外側を歩く
フェンスをよじ登るオオヤドガリ
ヤドガリにとってはフェンスはとんだ障害物
イワホウライシダ
(ワラビ科、固有種シダ)

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落葉(黄色はハスノハギリ、
赤と褐色はモモタマナ)
モモタマナの板根
土壌が薄いためか南方系には板根が多い
テリハボクの切株
内部が洞になった切株をいくつか見た

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ハスノハギリ(島名ハマギリ、ハスノハギリ科、広分布種)
海岸林の代表的な樹種で、樹高15m、直径50〜80cmになる常緑高木。小笠原の各島、琉球、インド洋〜西太平洋沿岸に
広く分布する。種子は海流で運ばれる。用途として、海岸の防風林、桐のように軽いので昔カヌーの材料になった。



初寝浦海岸

初寝浦線歩道の入口から約1時間かかって初寝浦海岸に着く

初寝浦海岸は父島東岸で最大の砂浜。三方が海蝕崖で囲まれているためか訪ねる人も少なく静寂そのもの。
太平洋戦争中に、元ブッシュ大統領が日本の対空砲火により撃墜されたのは、この付近だといわれている。
元ブッシュ大統領(第41代大統領(1989年〜1993年)ジョージ・H・W・ブッシュ)は、長男の第43代大統領と区別するため父ブッシュと呼ばれることもある。艦上攻撃機パイロットだった彼は、1944年9月2日にこの沖で父島地上砲台の対空砲火を浴びて撃墜され、他の2名の同乗者は死亡したが、彼はパラシュートで脱出し味方に救助された。

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初寝浦の北側の岩崖には枕状溶岩が露出している
 
枕状溶岩の間にさらに溶岩が
貫入しているところもある

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枕状溶岩は、海底火山噴火で噴出した溶岩が海水で急冷されたときに出来る

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ここの枕状溶岩は
ボニナイト(無人岩)を含むという 
緑色の鉱物は古銅輝石、
白い鉱物は単斜エンスタタイトだろうか
うぐいす砂鶯砂
 


ボニナイトうぐいす砂は、父島にあって母島にはない理由
海野進先生(金沢大学自然科学研究科教授)の資料より
小笠原諸島の島々は今から5000-4500万年ほど前の火山フロントで活動した島弧火山です。父島以北の島嶼(父島列島,聟島列島)は5000万年ほど前の海底火山の集ま りで,少なくとも漸新世(今から3750-2250万年前)以降に隆起して島となりまし た。これらの海底火山は現在の伊豆ー小笠原の火山では産出しない,ボニナイトとい うMgの含有量が高い特殊な安山岩の溶岩でできています。この安山岩には古銅輝石 (斜方輝石の一種)という緑色の鉱物が多く含まれています。そのため,この岩石が 風化浸食を受けると固い古銅輝石だけが残り,やがて波に洗われて古銅輝石が海岸に 集まり,うぐいす砂となります。小笠原のボニナイトには古銅輝石の他に単斜エンス タタイトという乳白色の輝石を含むものがあります。この鉱物は隕石に含まれること がありますが,地球上の岩石ではボニナイトやボニナイトマグマがゆっくりと冷えて できた深成岩にしか産出しない,とても珍しい鉱物です。

一方,母島は4500万年ほど前の火山島で,現在の伊豆諸島の玄武岩や安山岩とよく 似た岩石でできています。父島以北の海底火山とは活動した時代が違っており,父島 と母島が同時期に活動したという証拠はありません。しかし,母島の南東沖の海底に は父島とよく似たボニナイトの海底火山が見つかっていますから,母島のあたりでも 少し古い時代には同じような火山活動があったと考えられます。また,ほぼ同じ時期 のボニナイトの海底火山は小笠原のはるか南方のマリアナ諸島からも知られていま す。このように父島をはじめとするボニナイトの海底火山活動は,今から5000万年ほ ど前の一時期に小笠原からマリアナにかけての広い範囲で起こった島弧火山活動です が,現在の地球上では知られていません。ボニナイトマグマができるためには,通常 の島弧とは異なる特殊な条件が必要だからです。ボニナイトマグマは,通常の島弧マ グマよりもかなり浅いところで,水を含んだマントルのカンラン岩が溶けてできたと 考えられています。多くの島弧ではマントルの非常に浅い部分は温度が低いために, 溶けてマグマを発生することはありません。ボニナイトマグマが活動した頃の小笠原 の下のマントルは,異常に温度が高かったのです。

小笠原の500 kmほど西の海底に九州−パラオ海嶺という海底山脈が南北に延びてい てます。その海底山脈と小笠原の間にある海底を四国−パレスベラ海盆と言います が,これは今から3000-1500万年前にプレートが東西に拡大してできた背弧海盆で, ボニナイトマグマが活動した頃にはまだありませんでした。その頃の小笠原は九州− パラオ海嶺とくっついて,火山活動が盛んな島弧の一部でした。この海嶺の西には西 フィリピン海が広がっていますが,その海底も四千数百万年前までプレート拡大を続 けていました。プレートの動きを復元すると,この西フィリピン海プレートの拡大軸 は丁度小笠原のあたりで九州−パラオ海嶺(古島弧)と交差していたらしいのです。 プレート拡大軸の直下ではマントルが湧き上がってきますから,浅いところでも温度 が高くなります。この九州−パラオ古島弧の下に拡大中の海嶺が沈み込んだために, マントルの温度が上がってボニナイトマグマができたという説があります。この沈み 込んだ海嶺は太平洋プレートとその南にあった北ニューギニアプレートの境界であっ たと考えられています。また,丁度今から4500-5000万年ほど前の小笠原のあたりに マントル上昇流があったために,マントルの温度が高かったのだ,という学説もあり ます。


母島にボニナイトが見られないのは,父島などでボニナイトの火山をつくった後に マントルの温度が下がってしまったためでしょう。

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砂浜にはいろいろな漂流物が打ち上げられる これはカニの足跡

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どこから来たのだろうか「軽石の破片」 島崎藤村の詩を思い出させる「ヤシの実」

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モモタマナの実 タコノキの実のネズミの食痕 テリハボクの実 モクマオウの球果

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小笠原ではモクマオウが松の代りの景観を作る モクマオウの球果 タコノキの雌株にできる実

初寝浦の南側の岩崖には海食洞がある

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岩崖の上に生育するオガサワラハチジョウシダ(別名ムニンハチジョウシダ、イノモトソウ科、固有種シダ)

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マルバシマザクラ(アカネ科、固有種の常緑小低木)の実生と毎木調査の標識
世界に類をみない貴重な植物であるが、ノヤギの大好物のため
食害に会い、切り立った崖でしか見ることができない。
防ネコ・フェンスに落ち葉が溜まり、
植生に影響があるという
 

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砂浜に芽生えた実生、左からテリハボク、モモタマナ、グンバイヒルガオ



初寝浦海岸から二見港に戻る

1時間をかけて下った200mの海食崖を登り返すのはきつい。しかし植物観察には下りよりも登りの方が条件がいいのだと自分にいい聞かせる。

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モクタチバナの幼木 シマモチ

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ヒバゴケ(イワヒバ科、広分布種シダ)
和名の檜葉苔の名のごとくヒノキの葉に似ている。
コケのようにも見えるが、れっきとしたシダである。
ホウライシダ(ホウライシダ科、広分布種シダ)
茎には切れ込みのある扇形をした小葉が互い違いにつく。
ソーラス(胞子嚢群)は葉縁の一部が折れ返ったところにつく。 

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オガサワラビロウ(島名シュロ、ヤシ科、固有種)
葉柄に刺がある、丈夫で屋根葺き材になる
メイジマビロウ(母島や姪島に多いものを区別することもある)
葉柄に刺がない、屋根葺き材にならない

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往きにフェンスを登り始めたオオヤドガリは、2時間かかって1mほど登った。
無事フェンスを越えられるだろうか。防ネコ・フェンスが生態系に影響を与える例だ。

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サンクチュアリの外の遊歩道でアカガシラカラスバトを見つけた。悠々としていて、数分間眺めることができた。
サンクチュアリはアカガシラカラスバトの生育環境を保護するものであって、カラスバトを拘束するものではないことが分った。

アカカシラカラスバトはハト科カワラバト属の鳥で、森林性のハトとして知られ、よく繁った常緑広葉樹の暗い林内を好む。主な食物は、ガジュマル、シマホルトノキ、センダン、クワ類などの木の実、小動物も好んで食べる。おとなしい習性の鳥で、野外で人間と出会っても、まったく恐れずに逃げないという。これは本来、小笠原諸島にアカガシカラスバトの天敵となる生物がいなかったためと考えられている。
現在、推定個体数は小笠原諸島全体で30〜40羽程度と言われている。狭い島の森林を生息地としていたため、そもそも個体数は少なかったと推定されるが、森林開発や捕獲によって個体数がさらに減少したと考えられている。

                
アカカシラカラスバトを保護している法律等
1.絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の「国内希少野生動植物種」に指定
2.「環境省レッドリスト(2007)」でNT(準絶滅危惧)に指定
3.鳥獣保護法で「保護繁殖を特に図る必要がある鳥獣」として指定
4.東京都の「保護上重要な野生生物種2011年版」でEN(絶滅危惧TB類)に指定

5.文化財保護法で「天然記念物」に指定



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説明して下さる延島さんとテリハハマボウ(島名ヤマイチビ、アオイ科、固有種)
テリハハマボウに似たものに、オオハマボウ(島名カイガンイチビ、広分布種)がある。
オオハマボウは海岸に多く、種子が水に浮くという性質のため海流による種子分散ができるが、
テリハハマボウは山地に生育し、種子が水に浮くという性質が失われた。

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キンショクダモ(クスノキ科、広分布種)
固有種のムニンシロダモに似ているが、キンショクダモは葉の裏側に金色の毛がある。
シマイスノキ(マンサク科、固有種)
父島・兄島などに広く分布する代表的な低木

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タチテンノウメ(立ち天の梅、バラ科、固有種)
樹形は匍匐せず立つ。乾燥した岩場などに
白梅に似た小さな花を咲かせる。
シラゲテンノウメ(白毛天の梅、バラ科、固有種)
樹形は匍匐状で、地面を這うように枝を伸ばす。葉は綿毛に
被われている。花は左と類似する。両種の中間種型も多い。

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コバノアカテツ(アカテツ科、広分布種)
立地条件の悪い乾燥した岩石地などに生え、シマイスノキ
−コバノアカテツ群落を構成する主要樹種。アカテツの変種
 
シマムロ(島名ヒデノキ・火出ノ木、ヒノキ科、固有種)
小笠原島内自生する唯一の針葉樹
材に樹脂を多く含み、島民は極上の焚きつけ木にした。
シマイスノキ−コバノアカテツ群落を構成する主要樹種。

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シャリンバイ(島名アレキサン・ドル、バラ科、広分布種)
車輪梅と書く。一時は固有種とされた。
クロガヤ(カヤツリグサ科、広分布種)
長い花茎を伸ばし多数の黒い小穂を密生させる

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 「今、枕状溶岩の上に立って
 います」と延島さん。
 山の上の枕状溶岩は面白い。
ムニンシャシャンボ(ツツジ科、固有種)
父島の乾燥した土壌の浅い台地や斜面に自生し、
シマイスノキ−コバノアカテツ群落が発達した低木林内に混生する。

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ムニンエダウチホングウシダ(固有種シダ)
漢字では「無人枝打ち本宮羊歯」と書く。
ワラビ科、ホングウシダ科、イノモトソウ科などに分類される。
シロテツ(島名シマコクサギ、ミカン科、固有種)
別の島名をホワイトアイロンウッド(White iron wood)という。
シマイスノキ−コバノアカテツ群落内に自生する。

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ノネコ捕獲器 ネズミ捕獲器 ビロウの幼木

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トキワガマズミ(島名シマハクサンボク、スイカズラ科、固有種) 初寝浦線歩道から夜明道路に戻る

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    ムニンビャクダン(無人白檀、ビャクダン科、固有種)
テリハハマボウ、シマイスノキなどに寄生する。ビャクダン属は世界に8種あり、ハワイ・フィジーなどに分布。なぜ1種が小笠原に孤立して分布するのか興味ある。香りが弱いため利用されない。帰路の旭山ループトンネルを出たところで、観察した。
           ギンネム(マメ科、帰化種)
熱帯アメリカ原産、熱帯・亜熱帯各地に広く帰化。明治12年に輸入したといわれるが、極めて繁殖力が強く父島、母島に広く自生している。戦時中トーチカなどを被覆するために利用され、小笠原の各地に広がった。

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日没後の二見湾を旭山から眺める
 
 
 
 
コヒロハハナヤスリ( ハナヤスリ科、広分布種シダ) 延びているのは胞子葉。1枚の栄養葉と1枚の胞子葉からなる。新芽がワラビのように巻いた状態にならないシダらしくないシダ。
大神山神社で18時頃懐中電灯を付けて撮影

3月2日のGPS軌跡 (出発時にGPSの電源を入れ忘れたので、その部分は軌跡を描き加えた)



3日目
(3月3日)
南島上陸父島一周クルーズビジターセンター宿(泊)

二見湾でマンタ、ザトウクジラ、アオウミガメに出会う

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父島のメインストリートにある「B−しっぷ」には、観光協会、ホエールウオッチング協会などが入っている。
Sea-Tac社の「海のボートツアー」の参加者は、ここに集合する。
社名の由来は、海を意味する「Sea」に「Toast All Cetacean!(すべての鯨類に乾杯!)」の頭文字をとったもの

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1日お世話になるボート「ダンシング・ホエール号」に乗船 船長から航路の説明

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二見湾(国土地理院の地形図では二見港となっている)の
中で、3mほどもあるマンタを発見
マンタは船のすぐ近くまでやってくる。
 

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クジラから100m以上離れるのがルールだが、
ザトウグジラの母子の方から船に急接近してきた
クジラの発見は、ブロー(Blow、潮吹き)を見つけること。
二見湾の中で見れるとは驚いた。

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フルークアップFluke Up )は、息継ぎが終わり、潜水しようとするときによく見られる。

ザトウクジラは、。

ザトウクジラは体長13〜14m、小笠原には12月〜5月に繁殖のため回遊する。


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二見湾でアオウミガメに出会った。遠かったので望遠レンズで引き付けた。一人ぼっちのカメはなんだか孤独に見えた。

アオウミガは、甲長80-100cm、体重70-230kg。熱帯から亜熱帯にかけての水深の浅い沿岸域に生息する。日本では小笠原諸島や南西諸島を主な産卵場としている。採食を行う地域と産卵地の間を回遊(小笠原諸島で産卵する個体群は南西諸島で採食を行う)することもある。食性は植物食傾向の強い雑食で、主に海草(アマモなど)を食べるが藻類なども食べる。卵も含め食用になる。ウミガメの中ではアオウミガメはもっとも美味とされる。ワシントン条約附属書Tに記載されているため、国際取引は全面禁止され、ほぼどの国でも法令でその捕獲禁止がうたわれているが、現在もなおかなりの数が世界中で捕獲され続けている。日本でも小笠原諸島において食用目的のウミガメ漁が認められており、年に135頭の捕獲制限が設けられている。近年人工孵化と稚ガメの放流が行われており、生息数は安定しているという。



南島上陸

 上陸の前に
      南島と沈水カルスト地形について
A 南島は父島の南西に位置する、南北約1.5km、東西約400mの無人島である。全島石灰岩でできたカルスト地形である。特に地質時代に形成されたカルストが気候変動等による海水準の上昇によって海面下に没したもので沈水カルスト地形と呼ばれる。

沈水カルスト地形の代表として、ドリーネ(すり鉢型の窪地)と、ラピエ(石灰岩の突出部)がある。鮫池、扇池、陰陽池はいずれもドリーネである。島の海岸の大部分は石灰岩の絶壁でラピエからなっている。

扇池と陰陽池の間には「半化石の浜」があり、約1000年前に絶滅したヒロベソカタマイマイの化石が見られる。東尾根からは南島の全貌、父島の南西部(ハートロックなど)を眺めることができる。

上記の写真はhttp://www.asahi.com/eco/TKY201106240632.htmlより

鮫池から上陸、扇池へ

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上陸前に各自海水で靴を洗う。南島に
他の地の種子などを持ち込まないためだ。
ホエールウオッチング用の大きな船は南島に接岸できないので、
小型のボートに乗り移る

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小型のボートで接岸地点に近づく 接岸地点は石灰岩のラピエに囲まれた入り江

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ボートからラピエの岸壁に乗り移る 上陸して見ると、こんな恰好で歩いている観光客も多い

鮫池の方を振り返ると、歩くところは舗装されている。ここからはみ出さないようガイドから注意される。

かつて人間やノヤギによって破壊された自然。現在植生の回復に努めているが、まだ回復していない。(3枚接続パノラマ)

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石灰岩が雨水で侵食されて出来た石柱はラピエと呼ばれる まだサンゴの化石が見られる石灰岩

南島で最も美しい景観の1つ扇池。
石灰岩の岸壁にできた海食洞で海とつながっている。岸壁には石灰岩が雨水で侵食されて出来た石柱(ラピエ)が林立している。
足元は砂ではなく、サンゴの粉である。青く透き通る扇池は、石灰岩が雨水で侵食されて出来た窪みで、ドリーネと呼ばれる。

沈水カルスト地形
カルスト地形(独: Karst )とは、石灰岩などの水に溶解しやすい岩石で構成された大地が雨水、地表水、地下水などによって侵食(主として溶食)されてできた地形である。広義には、中国の九寨溝、トルコのパムッカレ、アメリカのイエローストーン国立公園などの、大量の石灰分を溶解した地下水や温・熱水から石灰華が大規模に再沈殿して作り出される地形も、カルスト地形に含まれる。

カルストという語は、スロベニアのクラス地方(岩石を意味する古代の地方名 Carusadus、Carsusに由来)に語源がある。この地方には中生代白亜紀から新生代第三紀初頭にかけて堆積した石灰岩が厚く分布し、溶食による地形が広く見られ、スロベニア語で Kras、ドイツ語で Karstと呼ばれてきた。

特異なカルスト地形として、地質時代に形成された沿岸域のカルストが気候変動等による海水準の上昇によって海面下に没した沈水カルスト地形がある。その代表として、ドリーネとラピエを説明する。

ドリーネ(doline)
雨水が石灰岩の割れ目に沿って集中的に地下に浸透する過程で周囲の石灰岩を溶かすため、地表にはドリーネ(doline:擂鉢穴・落込穴;語源はスロベニア語の谷)と呼ぶすり鉢型の窪地が多数形成される。直径は10mから1,000m、深さは2mから100mくらいである。

ラピエ(lapies)
土壌水の溶食から溶け残った石灰岩の突出部(石灰岩柱)が無数に土壌中から顔を出す。これをラピエという。古くはこのような地形を日本では石塔原とか墓石地形と呼んだ。通常、石灰岩柱は雨水による溶食でギザギザと尖っていることが多い。

小笠原の南島一帯及び母島の石門一帯では、石灰岩が侵食や風化を受けてできた「カルスト地形」が見られる。特に南島では、ラピエと呼ばれる鋭く尖った岩や、ドリーネと呼ばれるすり鉢状の窪地(扇池、鮫池等)が顕著に見られる。南島周辺はカルスト地形が海中に沈降した沈水カルスト地形が見られる国内でも珍しい場所である。

南島では、2003年からは自然保護の観点により観光客の入島に際して、東京都認定の自然ガイドの同行、定められたルート以外は立ち入り禁止、1日あたりの入島人数は100人まで、上陸時間は2時間以内、等の自主ルールが設けられている。


扇池と陰陽池の間の浜に転がるのは多くの半化石
砂浜の少ない小笠原諸島では、ここは貴重なアオウミガメの産卵場所である。

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この貝殻はヒロベソカタマイマイという1000年程前に絶滅した巻貝

ヒロベソカタマイマイの絶滅はまったく謎につつまれています。なぜ絶滅したのかを知るには、絶滅した時代を推定することが必要になります。この種は、遠い昔に絶滅した化石種だと長い間信じられてきたのですが、現在では年代測定の結果、少なくとも1000年前にはまだ生きており、その絶滅は地質学的にはごく最近のことだということがわかっています(Chiba 1989)。炭素同位体法による年代測定の結果では、ヒロベソカタマイマイの殻試料の年代値として最も新しいものは父島南崎で約1000年前、南島で約900年前という値が得られています。しかし貝殻ごとの年代値のばらつきを考慮すると、実は200〜400年前まで生存していた可能性があります。

南島の砂丘上には、ヒロベソカタマイマイの死殻に混じって、少数ながらチチジマカタマイマイとアナカタマイマイの死殻が散在しています。この2種も南島では生きたものは見つかっていませんが、こちらは新鮮な殻皮をもつ死殻や殻口に膜を張った状態の死殻が見つかっており、その南島での絶滅は、極めて最近、おそらく戦後以降のことだと考えられます。なおチチジマカタマイマイは南島の対岸の父島南崎では現在も生息しており、アナカタマイマイも父島南部に局所的ながら生息しています。
   千葉聡のページ 「進化の小宇宙:小笠原諸島のカタマイマイ」 http://www12.ocn.ne.jp/~mand/mandtop.html より



南島の植生

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地表に葉を平らに並べた植物の状態をロゼット
(英Rosette)というが、この植物名は?
 
ツボクサ(壺草、セリ科、広分布種)
民間では全草を採取し、煎じた液で皮膚のただれ・
湿疹などに外用する。生薬名:セキセツソウ(積雪草)

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スナヅル(一名ハリガネソウ、クスノキ科、広分布種)
吸収根で他の植物に着生し寄生する。
ハナヤスリ(花鑢、ハナヤスリ科、広分布種シダ)
胞子葉が穂状なので,それを鑢にみたてて和名がついた

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カタバミ(カタバミ科、広分布種)
 
ツルナ(蔓菜、ハマミズナ科・ツルナ科、広分布種)
古くから各地で食用にされ、英語ではNew Zealand spinachと呼ぶ

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ヤエヤマアオキ(アカネ科、広分布種)
 
クサトベラ(クサトベラ科、広分布種常緑低木)
グンバイヒルガオなどとともに海岸植生の代表

クサトベラの群落
ノヤギがいなくなった南島では繁茂している。多分石灰岩質の土壌が合うのだろう。



南島の東尾根に登る

植生回復中の遊歩道を通って東尾根に登る

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遊歩道はクサトベラの群落の中にある
 
植物を寄せ付けない石灰岩のラピエを登る。
何故かここはクサトベラの独壇場だ

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尾根の上に出る。シュノーケリング用の
ウエットスーツのままで登ってきた若者たち
長女とのツーショット
 背景にハートロック

中央に扇池、右手に陰陽池。いずれもカルスト地形独特のドリーネである。

東尾根から北東側を展望する。
遠方の父島の手前に見える島々は石灰岩の山だ。典型的な沈水カルスト地形である。

上の写真からハートロックの部分を切り出してみた。 250mの断崖絶壁だ。
国土地理院の地図には千尋岩と記されている所であるが、赤いハート型の岩があるので
ハートロックと呼ばれている。ハートの部分はデイサイト、ハートの両側の上部はもデイサイト、
下部は無人岩(ボニナイト)、上下に挟まれている部分は凝灰角礫岩であるという。
ハートの部分と周りの部分の間は断層である。



船で父島一周

ダイビング・ポイント

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上陸用ボートからホエールウオッチング用の船に移る ダイビング・ポイントは兄島のキャベツビーチ沖だ

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シュノーケリングの用意をして、若者たちは次々と飛び込む 船長はアクアラングを付けて潜水する

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シュノーケルでは海中がよく見えるらしい シュノーケルができない私は弁当を食べる

船上からロクセンスズメダイの写真を撮る
全長15cm。体側に5本(残念ながら6本ではない!)の黒色横帯がある



クジラを求めて父島一周

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ブロー(Blow、潮吹き)
 
Breach(ブリーチ)
ホエールウォッチングに参加するのであれば、このアクションは是非見たいもの。

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父島東南端の巽崎付近の絶壁
石英含有デイサイト〜流紋岩溶岩、角礫凝灰岩およびハイアロクラスタイト (hyaloclastite)からなるという

海中にマグマが噴出するといつも枕状溶岩がつくられるわけではない。高温のマグマが十分な量の水に急に接すると、急冷収縮してばらばらに破砕した岩片の集りができることがある。このようにしてできた火山砕屑物(さいせつぶつ)層をハイアロクラスタイト(水砕岩)という。

溶岩は二酸化ケイ素成分の少ないものから順に、玄武岩→安山岩→デイサイト→流紋岩 であり、後になるほど粘性が高い。 枕状溶岩は玄武岩質〜流紋岩質のどの溶岩においても形成されうる。 ただし玄武岩質マグマではマグマ中に含まれる揮発性成分が乏しいためにハイアロクラスタイトにはならずに枕状溶岩ができることがある。

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割れて石灰岩が露出している岩 石灰岩が浸食(主に溶食)されてラピエ状になった岩 これは枕状溶岩だろうか


 海図を見ながら考える

 
        どうして南島周辺の沈水カルスト地形ができたのか
 
父島本島は枕状溶岩などの溶岩からできているのに、父島の南西部、南島の周辺の島々は、石灰岩からなる沈水カルスト地形であるのはどうしてだろうか。海図を見ながら考えてみよう。

海図 : 海野進「小笠原諸島の地質」より
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海底火山が噴火して、枕状溶岩の山ができた

火山が隆起して、浅瀬ができた

浅瀬にサンゴ礁が発達した

サンゴ礁が堆積し石灰岩になった

再び隆起して石灰岩が空中に出たため雨水で浸食され、ドリーネやラピエができた


Sea-Tacのクルーズの参加者に配られた記念写真



ビジターセンター

クルーズが終わってから、小笠原ビジターセンターを訪ねた。
昨年6月に詳しくホームページで紹介したので、今回は新規な部分だけ紹介しよう。

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2011年6月に小笠原が世界自然遺産に登録されたので、登録記念式典写真と登録証(複製)が展示された

「世界自然遺産とは?」と題したパネルが展示された。
小笠原の場合は、「地形・地質」、「生態系」、「生物多様性」の3つの評価基準で申請したが、
「生態系」の基準に合致するとして承認された。「地形・地質」と「生物多様性」は認められなかった
わけであるが、1つでも合致すれば世界自然遺産の承認に問題はない。申請の経緯を知る者から
見ると、このパネルは非常にまじめで、むしろ好感が持てるといえよう。

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父島と母島の地質が要約されている
 
沖縄が黒潮の真っただ中にあるのに対して、
小笠原は黒潮再循環流の中にあることが分る

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父島は乾性低木林帯である
 
1828年のロシア鳥類学者キトリッツによる銅版画。人が定住する前の現生の自然が窺える。

良かれと思って移入された植物が害をもたらすことがある。自然保護の難しい点の1つである。
「道端御三家」といわれるランタナ、ホソナガソウ、オオバナセンダングサもこの表に入っている

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小笠原ビジターセンターでは、よく企画展示を行う。今は時節柄「クジラ展」である。


3月3日のGPS軌跡



4日目
(3月4日)
  中央山アカカシラカラスバト・サンクチュアリ
    
中央山展望台小港園地連珠谷展望地宿(泊)

今日は母島を訪ねる予定だったが、天候が悪く父島から母島への船が欠航するというので、急遽マルベリーの吉井さんにお願いして、アカガシラカラスバトのサンクチュアリ、中央山展望台、小港園地などを案内してもらうことにした。大部分は去年の6月に観察したところであるが、長女は今回が初めてであるし、季節が変われば見るものも変わることに期待して参加した。

ヤロード橋

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橋の名になっているヤロードはキョウチクトウ科の
固有種の常緑樹で、Yellow wood が訛ったものという。
 
ムニンヒメツバキ(ツバキ科、固有種)
6月が花期なので今回は見れないと思っていたが、ヤロード橋に早咲きの1株があることは知らなかった。小笠原村の花である。

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イシカグマ(コバノイシカグマ科、広分布種シダ)
 
チチジマキイチゴ(バラ科、固有種)
生憎、白い花(4〜5月)と赤い実(6〜7月)は見られなかった

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パパイア(パパイア科、帰化種)
1830年、欧米系移民がハワイから持ち込んだ。現在は野生化している。
樹高が7〜8mもあるので、近くで花を見ることは難しいが、幸いなことに橋の上から観察できた。

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ギンネム(マメ科、帰化種)
明治12年に輸入されたもの。崩壊防止用緑化樹として
利用されたが、繁殖力が旺盛で処理に難渋している。
 
 
         イソヒヨドリ(スズメ目・ツグミ科)
開放地を好む性質から、島内の開発にともなって個体数が増加する可能性が指摘されている。このことからイソヒヨドリの外来植物の種子散布者としての役割は、森林性の種に比べて大きい可能性が危惧されている。



夜明道路

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ケホシダ(ヒメシダ科、広分布種シダ) ハチジョウシダ(イノモトソウ科、広分布種)

現地に建てられたマルハチ、ヘゴ、、メヘゴの説明パネル

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マルハチ メヘゴ

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オオシラタマカヅラ(アカネ科、固有種常緑つる性小低木)
 
ムニンシラガゴケ
(シラガゴケ科固有種といわれているコケ)

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タコヅル(タコノキ科、固有種)
茎の節から気根を出し他の木に巻きついて、時には十数mもよじ登る。本種に巻きつかれて枯死する樹木もある。



中央山展望台

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夜明道路から中央山展望台へ行く 階段を登ると中央山の尾根に出る

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中央山の山頂(標高319m) 山頂の近くに旧日本軍のレーダーの残骸がある

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シャリンバイ(バラ科、広分布種、一時は固有種とされた) シマイスノキ(マンサク科、固有種)

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ムニンシャシャンボ(ツツジ科、固有種)

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ムニンタツナミソウ(立浪草、シソ科、固有種)
花が穂状に多数付き、同じ方向に向いている姿が
波頭の文様を思わせることから、この名が付いたもの。
タチテンノウメ(立ち天の梅、バラ科、固有種)
樹形は匍匐せず立つ。白梅に似た小さな花を咲かせる。
 

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ホソバクリハラン(ウラボシ科、固有種シダ)
ランという名だがシダ。この個体はソーラス(胞子嚢群)は沢山付けていた。

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イワヒバ(イワヒバ科、広分布種シダ)
ヒバという名が付くが、シダの仲間である
オガサワラグミ(グミ科、固有種)
果実は渋い中にも甘味があるので戦前は食用にした

A
モクタチバナ(ヤブコウジ科、広分布種)
タコノキと重なってしまった
 
 
          アカギ(トウダイグサ科、帰化種)
明治38年以前に移入したとされる。成長が早く20年で樹高15m、直径40cmにもなる。薪炭材として期待されたが、返還後は固有植生を破壊する樹種として、駆除の対象となっている。

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道端御三家といわれる外来種の代表(左から、オオバナセンダングサ、ホナガソウ、ランタナ)

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石垣の隙間で頑張るガジュマル
(クワ科、帰化種)
ケホシダ(ヒメシダ科、広分布種)
 
ヒメマツバボタン
(スベリヒユ科、広分布種)



植物の進化とシダ植物

今回の旅に同行した長女の希望もあり、出来るだけ多くのシダ植物を観察することにした。
シダ植物を観察する機会の少ない私なので、この機会にシダ植物について、進化の立場
からまとめてみた。

地上植物の進化系統図


http://rikanet2.jst.go.jp/ を改変
A 地球上に最初に生命が生まれたのは海の中であった。生物の1つに光合成をするシアノバクテリアがあり、バクテリアが大気中に酸素を出した。酸素からオゾンが生まれ、オゾンが太陽からの紫外線を吸収してくれたお蔭で生物は海から地上に上がることができた。

地上に上がった植物の中でコケ植物は維管束(水や養分を運ぶ管)を持たないので大きく成長できなかった。維管束を持つシダ植物は大きくなることができた(木生シダは10m以上にもなった)。しかしシダは種子を作らず胞子で増えるので、生殖に水が欠かせなかった。

裸子植物や被子植物は種子を作ることができるので、いろいろな環境に適合して繁栄することができた。


シダ植物の生活環


八田洋章編 図解雑学 植物の科学 ナツメ社 より
A 我々がよく見かけるシダ本体は胞子体である。胞子体は葉裏に胞子嚢群(ソーラス)を作る。胞子嚢群には多数の胞子嚢があり成熟すると胞子が飛び出す。シダの本体(胞子体)の染色体の数は2nであるが、胞子の染色体の数はnである。

胞子は発芽すると前葉体(配偶体)になる。前葉体には卵を作る造卵器と精子を作る造精器ができる。 精子は水中を泳いで卵に辿り着くと受精卵になる。受精卵の染色体の数は2nに戻る。

受精卵は成長してシダの本体(胞子体)となる。これがシダ植物の生活環(一生をサイクルに描いたもの)である。

シダ植物では進化のためには卵と精子を作るのであるが、精子が卵に辿り着くには水が必要である。これは生活環境の制約となる。多分進化の過程で水中植物であった時代の名残ではないかと思う。


被子植物の生活環


八田洋章編 図解雑学 植物の科学 ナツメ社 より
A 種子植物の中で最も進化した被子植物の生活環を考えてみよう。

通常の植物(胞子体)の染色体の数は2nである。雌しベは減数分裂して染色体数nの胚嚢を作る。一方、雄しべは減数分裂して染色体数nの花粉を作る。

風媒にしろ虫媒にしろ、雌しべの先端に付着した花粉は自ら花粉管を出して胚嚢と合体し受精する。受精すると染色体数は2nに戻り、胚ができる。 このように被子植物では、シダ植物と違って受精の際に水は必要でない。それだけ生活環境の制限が厳しくない。

実は被子植物には裸子植物と異なり重複受精という過程があり、胚の中に栄養源である胚乳ができる。胚と胚乳から種子ができ、種子と子房から果実ができる。果実は媒介する動物に対するご褒美である。種子が発芽すると新しい植物が生まれ、サイクルが一巡する。

種子は水分のないところでも長期間冬眠することが可能である。しかも胚乳といういわば弁当持ちなので、温度と水分があれば発芽して成長できるため、地球上に大繁栄したわけである。




アカガシラカラスバト サンクチュアリ

A
防猫ネットで囲まれたサンクチュアリーの入口
観察ルート、観察目的などを石の色で区別する
 
サンクチュアリーの区分とルートを示す地図
父島の全体地図は上が北、サンクチュアリの地図は下が北(方位記号を書き加えた)

A
ナガバキブシ(キブシ科、固有種) 花序は穂状で5〜7cm、花期は1〜3月

A
ムニンイヌツゲ(モチノキ科、固有種)
シマイスノキ−コバノアカテツ群落内に混生している
標識にはムニンナキリスゲ(カヤツリグサ科、
固有種スゲ)とあるが、グロガヤかも? 

A
ヒノキバヤドリギ(ヤドリギ科、広分布種)
種子は熟すると飛び出し、周りの粘着物で
他の樹枝に付着し、宿主の体内に根を伸ばし寄生する
 トキワサルトリイバラ(サルトリイバラ科またはユリ科、広分布種)
本州のサルトリイバラは、トゲがあるが、トキワサルトリイバラは、天敵がいない島へ来てトゲがない種に進化したともいわれる。 

A
シマツレサギソウ(ラン科、固有種)
別名を無人連鷺草(ムニンツレサギソウ)という。環境省のレッドリスト(2007)では、
「近い将来における絶滅の危険性が高い種」である絶滅危惧IB類(EN)に登録されている

A
サンクチュアリ内の分岐
左は初寝山、右は有明道路方面、両方とも歩く
ムニンヒサカキ(ツバキ科、固有種)
最近個体数が減少しているという

A
フサシダ
(フサシダ科、広域分布種シダ)
ムニンノボタン(ノボタン科、固有種)
父島の特産で、他島では発見されていない。夏期は8〜9月

A
ここから先は、アカガシラカラスバトの
繁殖期のため、立入禁止
トキワガマズミ(スイカズラ科)
本種の保護のためには、アカギ除採が必要であるという

A A
ホソバクリハラン
(ウラボシ科、固有種シダ)
ムニンエダウチホングウシダ
(ワラビ科、固有種シダ)
シロアリの蟻道
 

A
シロヤマゼンマイ(ゼンマイ科、広分布種シダ)
 
 
キバンジロウ(フトモモ科、帰化種) マルハチの倒木に芽生え
1830年ハワイの欧米系移民が持ち込んだ。果実は食用。
ミカンコミバエが寄生するため、近年では極力伐採される。

マルハチの倒木に芽生えたノヤシ
A
ノヤシ(ヤシ科、固有種)
島名セボレーヤシは小笠原住民セボレー氏を記念したもの
ノヤシの幼木
 

A
ヒリュウシダ(シシガシラ科、広分布種シダ) 葉の裏側・主脈に沿ってできた胞子嚢群

A
サルトリイバラ(サルトリイバラ科またはユリ科、広分布種) 茎は硬く緑色で、トゲが所々に生える

A A
サンクチュアリ内の遊歩道は、サンゴのかけらを散布して舗装してある。なぜだか聞き忘れた。

A A
ムニンヒメツバキの蕾
6月になると全山満開になり、甘い香りが漂う
コヤブニッケイ(クスノキ科、固有種)
 
ホラシノブ(ホングウシダ科、広分布種)
 



小港園地

A
トックリヤシ(ヤシ科、植栽されたもの) 小港園地でお弁当

A
デイゴ(マメ科、植栽されたもの)
幸い枝先が低い位置にあるので、花の観察に最適。沖縄の県花。

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     カンヒサクラ(寒緋桜、バラ科、植栽されたもの)
ヒカンザクラ(緋寒桜)と呼ばれることもあるが、ヒガンザクラ(彼岸桜)と混合されやすいため、近年はカンヒザクラと呼ばれることが多い。
上流は北袋沢。時雨ダムで水流のほとんどがカットされ、浄水場へ送水されている。嘉永6年にペリーが来航したときに立ち寄り、随行した画家がスケッチした絵によると、当時は水量が多かったようである。

A
八瀬川の対岸の枕状溶岩の急崖で草を食するノヤギ
 
 
              グリーンアノール
6月には随所で見られたが、気温の低い3月にはこの1匹だけだった。外来生物法により特定外来生物に指定されている。
グリーンアノールは、爬虫綱有鱗目トカゲ亜目イグアナ科アノールトカゲ属に分類されるトカゲ。別名アメリカカメレオン。全長15-20cm。体色は緑色だが優れた変色能力を持ち、周囲の環境や気分によって背面は薄黄緑色から暗褐色まで、腹部は白色から灰色まで体色を変化させることが別名の由来になっている。

森林の林縁部や民家の近く、農耕地の周辺の樹木などの樹上に生息する。昼行性の変温動物であり、日中は日当たりのいい場所で日光にあたり、夜間には樹木の枝や葉の隙間などの狭いところで休息する。

食性は動物食で、昆虫類、節足動物等に素早く詰め寄り捕食する。 繁殖形態は卵生で、10-20日間に1回の間隔で数回にわたり1、2個の卵を地中に産卵する。(繁殖力が強い)

小笠原諸島では、1960年代に父島にペットとして持ち込まれた。その後野生化し、島全域に分布を広げている。現在では、総生息数400万匹、1ヘクタールあたりの生息密度では1000匹以上と推定されている。そのため、オガサワラシジミなど固有種を多く含む昆虫類に壊滅的被害を与えている。環境省は2004年から駆除事業を開始した。

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シロガヤツリ(カヤツリグサ科、広分布種)
 
リュウゼツラン(リュウゼツラン科、広分布種)
竜舌蘭と書くが、、ラン科に近い植物ではない

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           シマグワ(クワ科、帰化種)
明治の中頃琉球から養蚕用として移入されたが、現在は利用されていない。固有種のオガサワラグワよりも繁茂している。
         オオハマボウ(アオキ科、広分布種)
海岸林を構成する樹種の1つ。オオハマボウの花は1日花で、日中は黄色で夕方には橙色になるという。されば上の写真はどう解釈するか。
オオハマボウが主に海岸近くで見られるのに対し、よく似ているテリハハマボウはどちらかというと山の植物。そのためか、オオハマボウで見られた種子が水に浮くという性質がテリハハマボウでは失われており、海流による種子分散ができなくなっているという。適応進化という点で興味深い。

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ハスノハギリ(ハスノハギリ科、広分布種)
海岸林の代表的な樹種。海岸の防風林に、材はカヌーに使われた。
核果は肉質の総包葉に包まれ、頂点のみ孔を残す。種子は海流で運ばれる。

ベンガルボダイジュ(ベンガル菩提樹、クワ科、広分布種)で遊ぶ島の女の子たち



小港の丘に登る

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園地から小港に通じる道は、ハスノハギリの木陰
 
 
ムニンハマウド(セリ科、固有種)
海岸の砂質地に自生する。類似したアシタバが
八丈島から移入されており、競合が気になるという

A A
アスパラガス(ユリ科またはクサスギカズラ科)
 
イヌホオズキ(ナス科)
世界の温帯から熱帯にかけて広く分布。日本では史前帰化植物と考えられる
アスパラガス柔らかい茎を食用とする。土寄せして軟白栽培した白いものを
ホワイトアスパラガス(白アスパラ)といい、それに対して土寄せせずに普通
に育てた緑色のものはグリーンアスパラガスという。

A A
小港の脇にある丘に登る 途中、小港海岸がよく見える ネズミが食べた後のタコノキの実

A A
尾根の東側(内陸側)の斜面に見えた
黄金色のものがシマウツボである
シマウツボ(ハマウツボ科、固有種寄生植物)
父島のオガサワラビロウ、モクタチバナ、シロテツなどの根に発生する

A A
アカギがシマウツボの発生と関係する
という説もあるが、不詳
足元に三日月型の葉が落ちていた。見上げるとソウシジュの木が・・・
ソウシジュ(想思樹、マメ科、帰化種) 明治35年に台湾から輸入された



小港海岸

丘から降りて、小港海岸を歩く。シーカヤックを楽しむ人達

A
スナヅル(クスノキ科、広分布種)
吸収根で他の植物に着生し繁茂する寄生植物、実は直径3mm
グンバイヒルガオ(ヒルガオ科、広分布種)
かつては、海岸砂地の飛砂防止用に利用された



連珠谷展望台

A
ヤンバルタマシダ(ワラビ科、広分布種)
 
オガサワラシシラン(小笠原獅子蘭、シシラン科、固有種シダ)
絶滅危惧U類。湿った森の樹幹上に着生。

A
シママンネンタケ(マンネンタケ科、広分布種)
島万年茸と書き、ビロウに寄生するキノコ
小さな涸れ沢の向こう岸に石垣が見えた。
この上部は、かつて農耕地で民家もあったという。
マンネンタケ科にはほかにコフキサルノコシカケがある。
漢方で使われる「霊芝」は一般的にはマンネンタケのこと
をいうので、シママンネンタケもその仲間である。

A A
ガジュマル(クワ科、帰化種)
明治初年に移入され、屋敷の周辺に防風林として
植栽された。幹から気根を下し、密に繁る。
水場のような石囲いやビール瓶、一升瓶が見つかった
 
 

ここが家屋跡のような気がした。 上の画像をクリックすると屋敷の跡が分ります。

連珠谷展望台から夕暮れの扇浦がよく見えた。右の島は要岩。

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長い一日の島巡りからの帰り道、歩道に小笠原村の花「ムニンヒメツバキ」の花タイルを見つけた。


3月4日のGPS軌跡



5日目
(3月5日)
大神山公園父島出港(船中泊)

大神山公園

今日は午後に小笠原を出港するので、午前中は宿のすぐ背後にある大神山公園に行った。

A
石段を上がると、ノヤシ橋に出る

A A A
ノヤシの幼木 オガサワラリュウビンタイ シマオオタニワタリ
ノヤシ橋が架かる沢はシダの宝庫 エダウチホングウシダ  調査票が付いているものも多い アサヒエビネ 

大神山公園に掲げられた地図

A
公園から、今日出港するおがさわら丸(6,700トン)と、沖に停泊するパシフィック・ビーナス号(26,518トン)が見える
ビーナス号は大きすぎて二見港に着岸できないので、デッキに装備された救命用のボートで乗り降りするという。

A
公園の展望台から北東方向の兄島瀬戸を介して兄島が、右手には二見漁港が見える 南西方向にはメインストリートと自衛隊駐屯地

公園の植物には説明板が付いていて便利だ
A
ムニンススキ(イネ科、固有種) オガサワラススキ(イネ科、固有種)

A A
シマムロは小笠原に元々あった唯一の針葉樹

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アカテツ(フトモモ科、広分布種)
アカテツ(Red iron)は島名、和名はアデク
オオトキワイヌビワ(クワ科、固有種)
トキワイヌビワ(固有種)から分化したもの。繁殖力が弱い。

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テイカカズラ(キョウチクトウ科、広分布種)
かつてムニンテイカカズラとして固有種とされてきたが、
内地のテイカカズラと同種とする見解が通常となった。

 
 
テイカカズラの和名「定家葛」は、式子内親王を愛した藤原定家が、死後も彼女を忘れられず、ついに定家葛に生まれ変わって彼女の墓にからみついたという伝説(能『定家』)に基づく。

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                大神山神社
祭神は、天照皇大神(アマテラスオオミカミ)、など三柱神と大物主命(オオモノヌシノミコト)など二柱。1593年小笠原貞観が小笠原諸島発見の折「大日本天照皇大神の地」と奉記した標柱を建てたと伝えられる。
 セイロンベンケイ(別名ハカラメ、ベンケイソウ科、帰化種)
明治38年以前に父島に持ち込まれたらしい。大神山などに群生している。葉挿しで簡単に発根するので「葉から芽」という。
ハカラメの花がこんなに可愛いとは知らなかった。
 

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コヒロハハナヤスリ( ハナヤスリ科、広分布種シダ)
大神山神社の境内の奉納相撲土俵脇に群生している。2日目の夜懐中電灯を付けて観察したので、もう一度訪ねた。
1枚の栄養葉と1枚の胞子葉からなる。胞子葉は葉身がなく、軸の両側に胞子嚢が並んだ状態は花鑢を連想させる。



おがさわら丸の出港

大神山公園から帰り、出港の時間まで村内を歩き、郷土料理の「丸丈」で食事をした。

民家の庭から道路にはみ出たパパイヤの実

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アオウミガメの刺身 アオウミガメの煮込みとスープ 島寿司(漬けサワラにカラシを付ける)

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見送りのターミナルビルに張られた横断幕 「エコツーリズムの島」は良いけれども、「小笠原空港」はいかがなものだろうか。

小笠原名物のレジャーボートによる見送り

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おがさわら丸から見る夕陽 船内レストランでステーキと赤ワインの夕食



6日目
(3月6日)
東京入港

東京港入港

おがさわら丸で最後の夜を過ごし、定刻通りに15:30に東京竹芝客船ターミナルに入港した。




 昨年6月の初めての小笠原訪問に続き、今回3月に2度目の小笠原訪問を果たした。
今回の目的の1つであった母島には天候の都合で行けなかったが、初寝浦の植生と
地質観察、南島の沈水カルスト地形の観察、ホエールウォッチングと父島一周のボート
ツアーなど、心行くまで小笠原を楽しむことができた。次の機会にはぜひ母島を訪ねたい
と思う。

 最後に、この旅でお世話になった小笠原在住の自然保護活動家 延島冬生さん、
「海のボートツアー」 のSea-Tac社の皆さん、小笠原エコツアー・マルベリーの吉井さん、
(株)小笠原ツーリストの皆さんに、心からお礼申し上げます。また今回同行してくれた
長女にも心から感謝したい。



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